3話 処刑前のやり取りが好きな話
(注)ネタバレしかないです。
1-3の処刑前のやり取りは全体を通して見ると
「やったことと言ってること、ちゃんと噛み合ってる?」
という確認が、何度も繰り返されているように感じます。
そこで今回は、
「事実」と「自認」という切り口から、
実際のセリフを順番に見ていこうと思います。
① ココ ⇒ メルル
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んなこと言って、
メルルもシェリーに投票したんだろ
それ、は……。
犯人だもんね。投票するしかないもんね。
……この偽善者が。
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こらココ! 言い方がきつい!
ですが、少し立ち止まって考えてみると、
ココの言いたいこと自体は筋が通っているように見えます。
たとえ仕方のない状況で、
それが最善手だったとしても、
処刑に加担したという事実は消えない。
「天使のような振る舞いをしているあなたは、
その事実とどう折り合いをつけているんですか?」
というのがココの指摘だと思います。
メルルのギャップ
事実:処刑に加担した
自認:もう、やめてください……;;
ここでココが問題にしているのは、
投票したことそのものではなく、
シェリーを庇うような態度を取っていることです。
「処刑人は、処刑人なりの態度でいるべき」
ココの殺人に対するシビアな価値観が見えますね。
構造的には、
これは嘱託殺人に応じたシェリーにも向けられた言葉ですが、
この時点では真相が伏せられているため、
ココ ⇒ メルルへの糾弾として描かれているのだと思います。
では次のセリフを見てみましょう。
② アリサ ⇒ シェリー
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それ、命乞いのつもりか!?
それとも良い人だと思われて死にたいってか!?
(中略)
悪あがきなんてやめて、
悪人に徹して処刑されろよ!
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アリサ……本当にいい子ですね(泣)
ここでは、
間接的な殺人(処刑への加担)から、
直接的な殺人へと対象が変わります。
その分、言葉もストレートになっています。
シェリー(表)のギャップ
事実:ハンナを殺害した
自認:ハンナさんとは友達なんです!
「人殺しは、人殺しなりの態度でいるべき」
とても分かりやすい構図です。
①と相似形になっているのが分かりますね。
先と同じように、シェリーとハンナは真に友達だったのですが、
この時点では伏せられている情報です。
③ シェリー ⇒ みんな
アリサの指摘に対する、シェリーのアンサー。
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ハンナさんを殺したことに、
私は何を思う必要があるんでしょうか?
後悔?罪悪感?悲しみ?怒り?
自分で殺したのに、それを感じる必要がありますか?
その感情に意味はあるんですか?
ハンナさんが生き返るわけでもないのに。
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一見すると、
ものすごいサイコパス感のある発言です。ど迫力。
ただ、すべてを知った我々は、
ここに少し補助線を引くことができます。
シェリーは「必要」と言っていますが、
これを「資格」と読み替えてみましょう。
ハンナを殺した魔女である自分が、
なぜ一丁前に後悔や罪悪感を感じる資格があるのか。
まるで人間のように振る舞う資格があるのか。
そこにあるのは、
ただ動かしようのない事実だけ。
感情を介在させるのは事実に即した自認ではない……
そんな覚悟が感じられます。
軽薄で心のないように見える言葉の裏で、
実は誰よりも事実に向き合っていたんですね。。
シェリー(真)にはギャップがない
事実:ハンナを殺害した
自認:だから私は魔女である
余談:アリサとシェリーの悪人像の違い
アリサの指摘自体は完全に正しいです。
ただ、シェリーもそのことはちゃんと分かっていたんですね。
どちらも
「悪人は悪人らしく振る舞うべき」
と考えているのに、
想定している悪人像が違います。
アリサ:悪人は罪悪感を抱き、後悔し続ける存在
⇒友達がどうのと今更言うのは理解不能
シェリー:悪人は怪物なので人間らしく振舞うべきでない
⇒友達であるという事実に共感されなくとも構わない
アリサは結果的に人を殺してしまったことを
ずっと後悔し続けています。
シェリーは幼少期に人を殺してしまった自分と折り合いをつけるために、
怪物であり続けるしかなかったんですね……。
(余談おわり)
④ シェリー ⇒ ヒロ(2-5)
時系列は飛びますが、
構造的には①への真のアンサーだと思います(ロングパスがすぎる)
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私は……嫌だったんですよ。
ハンナさんが変わっていくのも。
ハンナさんがいなくなってしまうのも。
ハンナさんが悩み苦しむ姿を見るのも……。
全部全部……。
とっっても嫌でした。
……だから。
私は、自分も嫌いです。
あの選択をしまったことも。
それを選択せざるを得なかったことも。
そして……少しでもそのときの自分を肯定したい、今の自分も……。
みんなみんな……大っ嫌いなんです。
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シェリー……;;
たとえ仕方のない状況で、
それが最善手だったとしても、
ハンナを殺した事実は変わらない。
だからこそ、
魔女として、理解されない怪物として、
処刑されることを望んだのに。
後悔、罪悪感、悲しみ、怒り。
怪物である自分には、そんなものを感じる資格がない。
でも、感情を切り捨てるためには、
一度はちゃんと感じていないといけないわけで……。
シェリーが放つ人間離れした眩いまでの光。
その裏には等身大の葛藤があったことを明かされて、うーん。。
まとめ
1-3関連がすごいなと思うのは、
「事実」と「自認」のギャップを非難しておいて
実はそれを誰よりも理解していたシェリーの姿を明かし
それでもなお、人間はそんなふうに割り切れないと本音が出てくるところです。
なんかいい感じのことでまとめたいのですが、
ここからはあんまり咀嚼できてない。。
個人的にはべき論で止まってしまうことが多かったので、
1-3では共感があったのですが、2-5でその先を考えるきっかけになりました。